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長芋(ながいも)

現在、アジアからの需要が高まっている、道内産の長芋。
道東地方の帯広市を中心に、独特の粘りと甘味のある長芋をお届けします。

収穫直前の長芋の畑

長芋の歴史と栄養

長芋の歴史は大変古く、紀元前までさかのぼります。中国の雲南省が原産地で、薬味として使用されていたという記録が残っているそうです。日本には朝鮮半島を経て伝来したといわれ、古い時代から栽培されてきました。

長芋には様々な呼び名があり、種類を混同しがちですが、植物学的にはヤマノイモ科ヤマノイモ属に分類されます。

このうち、日本で食用とされているのは「ナガイモ」、山に自生している「自然薯(ジネンジョ)」、九州などで少量栽培されている「大薯(ダイショ)」です。 「ナガイモ」の種類には、「長芋」「イチョウイモ」「ツクネイモ」があり、長芋はまっすぐで長く、水分が多いのが特徴で、後の2種類は、長芋と形も異なり、粘りが強いのが特徴です。

北海道ではこれらのうち「長芋」を栽培しており、本州では、青森県、茨城県、鳥取県などが主力産地です。

長芋は栄養価が高く、たんぱく質、ミネラル、ビタミンC、カリウムなどを豊富に含みます。 消化酵素も多く、イモ類の中では唯一生で食べられる食品で、消化・吸収の促進に役立ちます。 また、独特の粘り成分に含まれるムチンなどに、滋養強壮の効果があるなど、栄養満点の野菜です。

長芋の代表産地・帯広

道内での気温の比較(データ元:気象庁統計)

北海道産の長芋の出荷量は、十勝地方が圧倒的に多く、帯広市は作付面積、収穫量ともに道内の市町村で最も多い地域です。(資料:北海道農林水産統計年報<平成17年>)

長芋は、地中深くまで生長し、中には1mに達するものもあるため、栽培は耕土が深く、水はけの良い畑であることが必要です。

帯広の長芋産地の土壌は、火山灰とローム(砂や有機物によってできた肥沃な土壌)が積み重なって出来た深い耕土で、適度な粘質であるため、長芋の栽培に適した土壌です。

帯広市の平均気温は、道内の他の地域より平均2℃前後低く、作物の登熟がゆるやかに進みます。昼夜の寒暖差の大きさは、質の良さと多収に結びつきます。

また、日照量の多さも、芋の肥大に大きく関係します。帯広市は、年間を通じて寒暖差があり、(右グラフ)肥大化する秋の時期に、日照量も多いことから、まさに、栽培期間が長く(次項参照)、11月に収穫される長芋の生育ステージにあっている気候といえます。

長芋の長い生育ステージ

長芋は、他の野菜に比べ、かなり生育期間の長い野菜です。3月の圃場の準備に始まり、収穫は11月上旬頃。その期間は半年以上にもなります。さらに、長芋に関する農作は、機械化できない内容のものが大半なので、とても手をかけられて栽培されています。
① 3~4月(圃場準備、催芽)

長芋は前項の説明にあったように、耕土の深い畑で育ちます。土中に小石があったりすると、それをよけて曲がって生長してしまうため、土を深く耕し、柔らかくふかふかの状態にしておきます。

4月下旬には、昨年の種芋用に作られた芋を用意・カットして「催芽」という作業をします。長芋の本来の発芽適温より高い温度環境で、種芋を保存・管理することで、種芋の発芽までの期間を縮めます。この作業には、芽ぞろいを良くし、植付からの栽培期間を短縮する利点があります。

支柱とネット。青いシートは保温フィルム

② 5~6月(植付、支柱ネット準備)

催芽から20日ほどたった、5月中旬頃に、いよいよ植付に入ります。北海道における種芋の大きさは100~150gが適当とされ、栽植密度にも注意します。密度が高いと収量が多くなる分、1つ1つの芋が小さくなります。

種芋の発芽適温は10℃以上、生育適温は17℃以上とされ、十勝地方では、冷害対策として、土に保温マルチフィルムをかけています。(右写真)
(資料:平成19年北海道野菜地図)

6月下旬頃の茎葉

5月下旬から6月下旬の間、支柱とネットを準備します。これは、長芋の茎が非常に長く伸び、葉が生い茂るためです。夏至を過ぎた頃、茎葉の生長がすすみます。生育初期の長芋は、種芋の養分で生長します。
③ 7~8月(茎葉成長期)

7月から茎葉は急速に成長をすすめ、新芋も肥大を始めます。茎(つる)はネットに絡みつき、葉を広げることで、受光面積を広げ、養分をためます。長芋は、17℃~25℃が生育適温といわれ、日中に晴天が多く、夜温が低いことが品質の良い長芋を作るといわれています。

未熟な長芋に見られることのある「アク芋(褐変)」は、呼吸によってできるポリフェノールがその正体。呼吸作用が激しくなると、ポリフェノールの生成も増え、褐変がすすみます。(特に先端部に多くできます) 夜涼しいと呼吸が静かになり、日中茎葉が生成した養分の、地中の長芋への蓄積効率が高まるのです。
④ 9月~10月(芋肥大期、成熟期)

8月をすぎると、新芋の肥大化が加速し、でんぷんの合成量が多くなり、その分水分が減ります。これが、甘味と粘りにつながります。茎葉の成長が落ち着くと、芋への養分の転流がすすみます。秋、晴天の多い帯広で、だんだんと寒くなる中、長芋はじっくりと熟していき、収穫期をむかえます。

選別作業。白く肌目のきれいな長芋です。

⑤ 11月(収穫、貯蔵、出荷)

 10月下旬頃になると、茎葉は黄色に変わってきます。これはまもなく収穫OKのサイン。支柱とネットの片付けの作業に入ります。収穫は、長芋の植えられている横を深く掘り、そこから手で長芋を傷つけないよう、丁寧に取り出します。

収穫の後は、5度前後の貯蔵施設で、7日以上保存し、選別・出荷にいたります。
この時期の収穫を秋堀りといい、一部分は土中に残して越冬させ、春の3月下旬頃に収穫します(春堀り)。帯広は冬の寒さが厳しく、降雪量も少ないため、土中での保存が可能なのです。この2回の収穫で、周年出荷を行っています。

環境にやさしい長芋作り

和田農園の圃場。土がサラサラです。

  和田農園では、土作りにこだわった栽培をしています。(⇒詳細は和田農園のページ)
長芋は根深く生長するので、土を深く耕すため、輪作には根菜類がむいています。和田農園では、他にゴボウと馬鈴薯などを栽培しています。

長芋の栽培では、ウィルスフリー種苗という病気に強い種芋からできた、大筒早生という品種を栽培しています。揃いがよく、収穫が通常より10日ほど早いという特徴があります。

また、和田農園は、化学肥料と農薬の使用を半分以下に抑えた「特別栽培」を行っており、肥料は有機質の肥料を多く投入し、農薬の使用は2剤のみと、徹底して安心安全にこだわった野菜作りを行っています。

長芋の調理と保存のしかた

長芋は、生ですりおろして食べても美味しいですが、千切りにしたり、焼いて食べても、サクサクとした食感があり、調理のパターンはさまざまです。 長芋の皮をむく際、肌にふれるとかゆみを感じることがありますが、これは、長芋に含まれるシュウ酸カルシウムが原因。結晶の形がナイフのような尖った形をしているために、かゆく感じます。

シュウ酸カルシウムは、酸に溶けやすいので、皮をむいた後に薄い酢やレモン汁で洗うと、かゆみが治まるそうです。また、表皮に近い部分に多く含まれているため、皮を厚めにむくのも防止方法の1つです。

長芋は乾燥に弱いため、貯蔵は、新聞紙にくるんで、冷蔵庫か、5℃前後の冷暗所で行います。切った残りは、ラップで切り口をしっかり包み、野菜室で保存しましょう。