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玉ねぎの生産者交流/南瓜スタート
この夏の全国の平均気温は平年と比べ1.76℃程高く、これまで最高だった昨年と並び統計史上最も高かったと気象庁が発表しました。北海道においても通常はお盆を過ぎた8月中旬以降は気温に落ち着きを見せるのですが、昨年に続き今年も8月下旬においても最高気温が30℃前後になるなど、平年よりも気温が高い日が続いていました。一方で気圧の谷や湿った空気の影響で曇りが多く、日照時間と降水量は平年を下回りました。太平洋側では気温が高かったものの、オホーツク海側は冷涼で、気温の変動が大きくなりました。
そんな中でも心配されていたような35度を越える猛暑にはならず、9月に入り少しずつ秋の気配が感じられるようになりました。しかしながら、気象庁の予想では9月の平均気温も平年に比べて高い見込みに加え、最近は雨が多く降り続いており、この雨が一部の地域において収穫作業に影響を与えており、生産者にとっては気の抜けない日々が続いています。
➖️➖️➖️➖️玉ねぎ️➖️➖️➖️➖️➖️➖️➖️➖️➖️➖️➖️➖️➖️➖️➖️➖️➖️
北海道産の玉ねぎは、地域によって多少の差はあるものの、全道的に見て平年並みの収量が見込まれています。サイズも平均してL~L大中心となっています。
そんな中、愛媛から「たいよう農園」の生産者の方々が北海道に訪れてくれました!
▼右からたいよう農園 井上専務、中央が美幌町の玉ねぎ生産者の高橋光さん、左がたいよう農園中川部長(8/22撮影)
たいよう農園は元気の出るオレンジカラーのユニフォームが特長です。
視察初日には、美幌町の玉ねぎ生産者・高橋光さんの圃場を訪れました。高橋さんは10年以上にわたって「直播」という方法で玉ねぎを栽培しています。
▼美幌町 高橋光さんの直播栽培の玉ねぎの圃場にて栽培方法の説明がありました(8/22撮影)
直播栽培は苗を移植せずに直接畑に種をまく方法で、栽培管理が非常に難しいですが、育苗の手間が省けて効率的な栽培方法です。高橋さんは春にはパオパオ(保温シート)を使って苗を守るなど、高度な管理のもと、移植栽培に劣らない収穫量を誇っている有数の生産者です。
たいよう農園も将来的には玉ねぎの直播栽培を検討しているので、非常に参考になったようです。
その後も同じく美幌町で高い播種技術を持つ中谷さんの圃場や、特別栽培に取り組みながら更なる化学窒素量を減らす努力をされている足寄町の松田さんの圃場などを視察しました。
視察の後半には「ホッカイコガネ」でお馴染みの音更町「大牧農場」を訪問しました。
大牧農場では、馬鈴薯の品質を保つための風乾技術が紹介されました。
▼屋外の風乾設備
大牧農場では屋外に設置されたブルーシートで覆われた風乾設備が特徴的で、シートに中央に開けた穴から風を送り込み、馬鈴薯を効率的に乾かす工夫がされています。更に今年からは雨天時にも風乾作業を行うことを目的に屋内での大規模な風乾施設を建設中です。
▼建設中の大牧農場の風乾施設(8/22撮影)
大牧農場では元々高い風乾技術により春先まで品質の安定したホッカイコガネをお届けすることを実現していますが、今回建設中の施設により、より安定した品質の馬鈴薯を供給することを見込んでいます。
今回、たいよう農園が3日間にわたって北海道を視察した目的は、愛媛産の玉ねぎを7月に安定した品質でお届けするための知識を深めることでした。愛媛では5月から7月にかけて梅雨の影響で玉ねぎの乾燥(風乾)が難しいため、北海道で学んだことを最大限に活かし、早速愛媛での風乾対策の準備に取り組み始めているそうです。
今後もエプロンでは他の産地とも連携しながら、双方に有益な情報交換や交流を積極的に行っていきたいと考えております。
➖️➖️➖️➖️スイートコーン➖️➖️➖️➖️➖️➖️➖️➖️➖️➖️➖️➖️➖️➖️➖️➖️➖️➖️
北海道産スイートコーンは、8月中旬頃から収穫のピークを迎えています。
▼音更町 得地農場の得地さんとスイートコーンの圃場(8/27撮影)
ヨトウムシの食害が一部発生しているものの、イエロー種のミエルコーンの収穫が順調に進み、一日で約1ヘクタール分、25,000本ほどが収穫されていました。8月29日にミエルコーンの収穫は終了し、9月1日頃からはバイカラーの「しあわせコーン」、その後はホワイト種「雪の妖精」の収穫が始まります。
▼得地農場のスイートコーン(イエロー種ミエルコーン 8/27撮影)
ここ数年、異常気象による高温の影響で、スイートコーンの収穫適期を見極めるのが一層難しくなっています。
少し前まではスイートコーンの”ひげ(絹糸)”が茶色くなり枯れてくると実が成熟している合図で、それが収穫適期だったのですが、近年は異常気象による高温の影響を受け登熟が急速に進み、茶色くなってからだと実が過熟している(えくぼやしなびている)ということが増えてきています。
そこで、最近ではひげが茶色くなる前に収穫を行うようにしていますが、これもまた一筋縄ではいかず、先端が実っていなかったり、色味が薄かったりと、悩みの種が尽きません。
現段階では全道的にスイートコーンの生育は順調ですが、今後も天候状況によっては害虫の発生が懸念されますので、品質確認を徹底しながら出荷を進める予定です。おおよそ9/15頃まで出荷が続く見込みです。
➖️➖️➖️➖️南瓜➖️➖️➖️➖️➖️➖️➖️➖️➖️➖️➖️➖️➖️➖️➖️➖️➖️➖️
秋の味覚の代表格「南瓜」 北海道産南瓜が出荷スタートしています。
▼美瑛町のおおとり農産の出荷グループの松添さんご夫婦(8/26撮影)
松添さんでは、「夢みるマロン南瓜」を栽培しています。この南瓜は1株から1玉だけを収穫するため、味が凝縮されていてとても美味しいと評判です。
▼収穫後風乾中の夢みるマロン南瓜(8/26撮影)
南瓜全体の作付面積は2haで8/24より出荷が始まっています。
今年は生育が良好で、大玉が期待されています。松添さんでは6年前から風乾機を導入して作業を効率化しており、品質も安定しています。
続いて、JAみねのぶでは8/28より南瓜の出荷スタートとなりました。
▼JAみねのぶのこだわり南瓜(8/20撮影)
▼JAみねのぶの目ぞろい会の様子(8/20撮影)
JAみねのぶでは、17名の生産者が約4.2haの南瓜を栽培しており、今年は約3,000ケースの出荷を予定しています。こちらも生育は順調で、平年並みの収量が期待されています。
最後は冬至向けの南瓜を作る得地さんです。
▼得地農場の南瓜(ブラックのジョー 8/27撮影)
ブラックのジョーも生育初期より樹勢強く良好、つる伸びもよく生育しています。
▼得地農場の南瓜(ブラックのジョー 8/27撮影)
得地農場では、ブラックのジョーという品種の南瓜が栽培されていて、9月1日から収穫が始まりました。これからハウスで風乾(キュアリング)を行い、10月下旬頃から出荷が始まります。
得地農場の南瓜全体の作付面積:12ha 総出荷数量(計画):150t 出荷時期:10月下旬から12月中旬(冬至まで)
全道的な南瓜の状況としてはこのように現時点では順調ですが、収穫時期に降雨にあたると南瓜自身が水分を吸ってしまうと後半に出荷する貯蔵分の品質が不安定になってしまうので、天候状況を見極めて収穫作業に入っていく予定です。