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佐賀産玉ねぎ生育状況/社外勉強会及び緩効性肥料について

1月は西日本を中心に気温が低い傾向が見られ、特に日本海側では多くの地域で積雪が観測されました。この低温や積雪の影響で農作物の生育に遅れが生じていますが、気象庁の予報によると、向こう1か月間の全国的な気温は平年並みからやや高めになると予想されています。
これにより、生育の回復が期待されています。

➖➖➖➖➖佐賀産 玉ねぎ➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖

玉ねぎ産地の佐賀県白石地区においても生育の遅れが見られます。
まず、3月から出荷予定の極早生種については、育苗中や定植直後の厳しい残暑の影響が大きく、各地区において生育や収穫量に対する懸念が出てきています。

4月下旬から収穫予定の早生種においても、マルチ栽培を行っている早生種「ボルト」が11月25日に定植されましたが、それ以降まとまった雨がない状況が続いています。

▼佐賀県白石地区 玉葱圃場 品種:早生種「ボルト」(1/10 撮影)

例年同時期の状態と比較すると、やはり生育は遅れ気味です。それでも、マルチによって土壌乾燥を防いでいることから、青々とした生育が確認されています。

一方、露地栽培で同時期に定植された早生種「レクスター」では、干ばつの影響をより強く受けており、生育の遅れが一層顕著です。

▼佐賀県白石地区 玉葱圃場 品種:早生種「レクスター」(1/10 撮影)

葉の色も薄く、先ほどのボルトとの写真を見るとその差は歴然です。

とはいえ、まだ生育初期の段階です。今後は気温の上昇と適度な降雨が生育回復の鍵となり、それによって一気に成長が進むことが期待されています。

➖➖➖➖➖玉ねぎ勉強会及び緩効性肥料実用化に向けて➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖

昨年12月、北海道産玉ねぎ生産者に向けたエプロン主催の勉強会を栗山町で行いました。この日は岩見沢市で大変な大雪が降ってしまいましたが、そんな中でも多くの生産者が勉強会に集まってくれました。

▼玉ねぎ 勉強会の様子(12/18撮影)  

勉強会ではエプロン商品管理課からは、

  • 軟腐病防除の新規登録材(農薬)について
  • 肥料会社と共同で成分を開発している緩効性肥料の説明とその試験結果について
  • お馴染みのソイルバランスについて、

以上3点の説明をさせていただきました。
また、肥料会社も招き、土壌診断のポイントについても説明していただきました。

②の緩効性肥料については今年で開発4年目になるのですが、毎年行う試験結果を基に成分の改良を重ねたことで、昨年3年目でとても良い結果がでました。

▼緩効性肥料の構造について

上記の図の通り、通常の肥料はオレンジの部分に示されている肥料成分のみを含んでいます。しかし、この肥料会社では、肥料成分に特殊なコーティングを施しています。このコーティングには微細なピンホールがあり、そこから肥料成分が徐々に溶け出す仕組みになっています。そのため、効果が緩やかに持続し、長期間にわたって効率的な栄養供給が可能となるのです。

近年は高温や干ばつの影響を受けて、倒伏期が早まることで玉ねぎが十分に大きく育たないことが課題になっています。特に小さくなりやすい晩生品種に対して、肥料成分が成長最後までゆっくりじっくりと効くことで、少しでも倒伏及び枯れ上がりを遅くすることができます。

そのため、この課題への具体的なアプローチを取ることができるようになります。

それは2024年の試験結果にも顕著に現れました。

▼緩効性肥料を用いた晩生品種に対しての2024年試験結果(圃場の様子と収量結果)

上記の結果は晩生品種北もみじ2000での試験結果です。
緩効性肥料を使用した試験区では、慣行区と比較してLサイズの比率が高く玉流れが大きく、慣行区を約113%上回る増収が確認されています。
この結果は緩効性肥料の高い効果を裏付ける重要なデータとなりました。

今年2025年は、昨年に引き続き同様の試験を実施予定です。今年は試験地を拡大し、オホーツク地方の美幌町を新たに加え、岩見沢市と合わせて2か所で試験を行います。昨年同様の安定した効果を期待するとともに、猛暑などこれまでと異なる生育環境においても持続的な生産が可能な技術を目指し、実用化に向けた取り組みを進めてまいります。