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道内は長雨から一転干ばつ気味に/露地アスパラガスピーク/愛媛の玉ねぎ始まり

5月に入り、ようやく気温も上がってきました。圃場が乾き、地温も上昇したことで、整地や定植といった作業も進み、4月の遅れを取り戻すべく急ピッチで作業が行われています。
しかし、4月の長雨とは一転して、現在は雨不足が続いており、定植後の生育が心配される状況です。
本来、定植作業の際には雨は避けたいものですが、定植後には適度な雨が欠かせません。今回はそのタイミングが逆になってしまい、もどかしさを感じています。
今までにはない天候の不安定さによって、作業の流れや生育環境にも影響が出始めています。

➖➖➖➖➖北海道産 グリーンアスパラガス➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖

中富良野町の匠ファームでは、露地アスパラガスの収穫が5/10より始まりました。

▼露地アスパラガスの圃場と匠ファーム代表・紺谷さん(5/13撮影)

今年は低温や雨の影響で、北海道各地で収穫が遅れており、匠ファームでも5/1に霜が降り、すでに3cmほど伸びていた芽が霜の被害を受けてしまいました。その影響により、例年より約1週間遅れとなる5/12から出荷がスタート。出荷開始こそ遅れたものの、今週に入って気温が上がり、序盤からサイズの大きいものが多く、良いスタートを切ることができ、5/15より出荷のピークを迎えています。その後は6/15頃まで出荷を予定しています。

露地アスパラガスは、寒さに耐えながらも太陽の光をしっかり浴びて、たくましく生長するのが特徴です。アスパラガスは収穫期間が短い作物ですが、こだわりを持って育てた“今だけの味”を、今年も皆さんにお届けしていきます。

一方、ハウスアスパラガスの収穫はすでに終了しました。
今年は低温の影響を受けながらも、太く立派なアスパラガスを多く収穫することができました。

▼収穫終了後のハウスアスパラガスの圃場の様子(5/13撮影)

写真のとおり、収穫が終わったからといって全ての茎を刈り取るわけではありません。

一部の若茎を残し、それらが成長して「ぎ葉(擬葉)」と呼ばれる細かい葉のような姿になります。

ぎ葉は光合成を行って養分を作り出し、地下の貯蔵根に蓄えます。この蓄えが、翌春の芽出しや生育のエネルギー源となります。また、この時期にしっかりと養分を蓄えることで、地下には翌年の芽のもととなる「りん芽群」が形成・発達していきます。
そのため、収穫後もぎ葉をしっかり育てて、根に栄養を送ることが、翌年の収量・品質に大きく関わってきます。
匠ファームでは収穫後すぐに堆肥を施し、来年に向けた管理をすでにスタートさせています。

➖➖➖➖➖愛媛 おひさま玉ねぎ➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖

4/30、コープ九州様により玉ねぎ産地の愛媛・たいよう農園の産地点検が行われました。

▼たいよう農園産直点検の様子(4/30撮影)

たいよう農園では、専用の管理システムを活用し、「作業記録」「防除記録」「在庫台帳」「収穫記録」「出荷記録」など、さまざまな情報を一元管理しています。こうした仕組みが従業員にも広く浸透しており、非常に高く評価されました。また、圃場だけでなく育苗段階からのトレーサビリティもしっかり確保しています。

たいよう農園からは、青果出荷については、当社エプロンからの情報提供が大きな支えとなったとお話しをいただくことができました。

玉ねぎ生育状況については、今年は定植後の冬期に干ばつがあり春も気温が上がらず、生育が例年より1週間ほど遅れ、5/8より玉ねぎの収穫がスタートしました。

▼収穫したばかりの玉ねぎ(5/8撮影)


早めに定植した圃場では大きいサイズのものが多く見られました。品質は良好で、収量も安定しており、順調なスタートが切れています。

【たいよう農園の玉ねぎについて】
作付け面積:80ha  収穫見込み:5000t 
出荷時期:5月上旬~8月下旬
※キャベツとの輪作を行っています。

また、たいよう農園では、昨年10月に実施された産地間交流で視察した大牧農場の技術を参考に、今年から新しい風乾方法を取り入れました。

▼玉ねぎを入れる前の風乾機械

屋外に設置したブルーシートで囲まれた設備に、中央の穴から風を送り込む「差圧式風乾」によって、特に乾きにくい中心部分を効率的に乾燥できる仕組みです。

これまでも自然風による乾燥は行っていましたが、機械を使った風乾は今年が初の取り組みとなります。収穫後すぐに風乾作業を行うことで、品質のさらなる向上と安定を目指しています。

また、玉ねぎの取り扱い量増加に対応するため昨年移転した新選果場では、今年からロボットパレタイザーによる自動箱積み機を導入し、正品のパレット積みを自動化しています。これにより作業の効率が大きく向上しています。日量で最大100トンの選別が可能で、よりスピーディーな選別が実現できます。

▼たいよう農園 井上専務(左)、中川部長(右)玉ねぎの圃場にて

常に新しい技術を取り込み、よりよくしていこうという思いが強いたいよう農園の皆さんです。
6月下旬から7月中旬にかけては、年間でもっとも玉ねぎ栽培が難しい時期ですが、その中でも安定した出荷を実現できるのが、たいよう農園の強みです。

前述の新しい技術や設備の導入により、品質と供給のさらなる安定を目指し、今後も取り組みを進めていきます。

➖➖➖➖➖北海道産 玉ねぎ➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖

前回のブログでもお伝えしたように、雨の影響で玉ねぎの定植が思うように進まず、特に作業が遅れていた南空知地区では平年より10日~14日ほど遅れてようやく定植作業が終了しました。定植作業においてはここ数年の春と全く違った天候により大苦戦しました。
今回は、南空知の中でも道内の一般的な作型より約10日早く播種を行っている、坂上さんの圃場の様子をご紹介します。

▼岩見沢市栗沢町 坂上さん 玉ねぎ圃場 品種:SN-3 定植日:4/12(5/15撮影)

坂上さんは4月12日に定植スタート。坂上さんでは雨に悩まされながらも、少ない晴れ間を逃さずに、粘り強く定植を進めてきました。
ただ、昨年の同じ時期の様子と比べると、やはり株はやや小さめです。また、冒頭にあったように定植後は雨が少ないため、生育に影響がでることを懸念しています。

続いて越冬玉ねぎの生育状況です。

▼伊達市 上野さん 越冬玉ねぎ圃場 品種:オーロラ(5/15撮影)

すでに肥大が始まっており、順調に生育がみられますが、やはり雨不足が気になります。
今後、適度な雨に恵まれ、生育が順調に進んでくれることに期待しています。